柔術のケガ回復ガイド——段階別リハビリから復帰まで
PEACE & LOVEの急性期・診断・リハビリ期・復帰、そしてメンタルの回復までの段階別ガイド。
柔術を続けていれば、ほとんどの人が一度はケガを経験します。大切なのは「早く復帰する」ことではなく「完全に回復」してから復帰すること。無理に復帰すると慢性的なケガになることがあり、結局もっと長く休むことになります。この記事は、ケガからの回復を段階別にまとめたガイドです。
0〜72時間——急性期のPEACE & LOVE
かつてのRICE処置(完全な安静+アイシング)を考案したゲイブ・マーキン博士は、のちに「アイシングや完全な安静は回復を遅らせることがある」と立場を改めました。現在はBritish Journal of Sports Medicineに発表されたPEACE & LOVEが広く使われています:
- Protect 保護 — 痛みが出る動きやスパーだけを中止。完全な固定は短期間に
- Elevate 挙上 — 患部を心臓より高く
- Avoid anti-inflammatories — 消炎鎮痛剤や氷の使いすぎは自然な回復を妨げることがあるので最小限に
- Compress 圧迫 — 医療用の圧迫包帯。寝る前には外す
- Educate — 正しい情報を。腫れ・痛み・濃いあざがひどければ、すぐに整形外科へ
- 急性期の後はLOVE — Load(痛みのない範囲での適度な負荷・軽い運動)、Optimism(前向きな気持ち)、Vascularisation(軽い有酸素運動)、Exercise(リハビリ運動)
出典:Dubois & Esculier, British Journal of Sports Medicine (2020)(PEACE & LOVE) · Gabe Mirkin, Why Ice Delays Recovery
1〜2週目——診断と計画
- 正確な診断が必須 — 「そのうち治る」という自己診断はNG
- スポーツのケガを多く診ている医師や理学療法士に相談する
- 理学療法を併用(保険の適用は医療機関に確認)
- 先生にケガを伝え、復帰の予定を共有する
2〜6週目——リハビリ期(最も重要)
- マットに行ってもスパーはしない — 仲間の技の練習を手伝う程度
- 処方されたリハビリ運動を毎日——退屈でもサボらない
- 体幹やケガをしていない部位の補強運動
- 食事——タンパク質を十分にとる
- 睡眠を十分にとる
復帰——段階的に強度を上げる4ステップ
- 1週目:ドリルのみ。スパーなし。強度50%
- 2週目:親しい仲間と70%のラウンドを1〜2本
- 3〜4週目:通常の強度。ただし患部の保護を優先
- 試合出場:医師や理学療法士と相談してから。それまでは無理をしない
メンタルも一緒に回復させる
長期のケガは心にも負担がかかります。道場の仲間との連絡を保ち、動画を見て、指導の手伝いをするなど、柔術とのつながりを手放さないでください。完全に離れてしまうと、復帰はずっと難しくなります。
柔術のケガ柔術の回復リハビリ復帰